ふと見つけた母の俳句手帳から④

*饒舌の止むとき日傘廻しけり
*清水掬む朝やけの雲曼荼羅に
*須臾に落つ一途に咲きし沙羅の花(S 61/10)
*夕暮れて山法師(くちなし)の白重きかな
*枕木に垣根に沿いてカンナの黄
*雷雲の熱気染みてみじろがず (S 61/11)
*八木節のいつしかチャチャに踊りの輪
*夏果ての安堵と名残り行く雲に
*菊芋の黄の花高し無人駅
*抱くほどのコスモス挿して壁明るし
*桐の実の大きく裂けて九月ゆく
*抄う手に降りつぐ池の銀もくせい (2004/11)
*ロシヤ毛布立ち売りしたる日のありぬ(終戦后の大連にて)
*煉瓦色の冬ばらありぬ夕庇
*小さき卓の小さき聖樹を今年また (S62/3)
*毛糸玉もつれ浄瑠璃つながらず
*風の径(みち)ろう梅の香の絹雲に
*ばさと来て黙す尖塔の寒鴉 (S 62/4)
*黄梅や失せて久しき襟かざり
*独り打つ手斧(ちょうな)のひびき斑雪野(はだらの)に
*春立つと玉杯のごと福寿草 (S 62/5)