卒業後
その人は製鉄所勤務のため
九州に赴かれた
彼に会いたくて
旅費をかせぐために
翻訳のバイトをした
潮力発電に関する
仏語から日本語への
技術翻訳だった
難解だったが
無事に終えたわたしへの
ご褒美は大きかった
その会社が
夏休みに九州出張所に
招待してくれたのだ
友人を誘って
初の九州旅行
楽しい旅だった
彼に会いながらも
肝心なことは
何も言えずに別れた
半年後の正月に
突然 桐生の両親の
もとを訪れた彼
嬉しかったが
どうしてよいかわからない
不安感も入り混じっていた
何事もなく
彼は故郷に帰って行った。
(2024年10月19日)