ふと見つけた母の俳句手帳から②

*めだかそれて川面さざめく日の光(S 59/8)
*鈴蘭の供花鎮魂の鈴振りぬ
*まるめろの花羞らいの紅うすく
*さらさらと微涼くぐらせリボンあむ (S 59/9)
*実梅どき亡母伏せがちに居給ひし
*泡のごと生れて落ちゆく沙羅の花
*詮なきをぶつけはっしと水を打つ(S 59/10)
*命得し夫燭ともす秋彼岸(S 59/12:父心筋梗塞で倒れた時)
*影長く曳き枯れ苑のマリア像 (S 60/3)
*風邪ごちの泪目まぶし聖樹の灯
*年柵の板さがしゆく暮れの市
*初明かり影さやかなる梅一枝 (S 60/4)
*笹子鳴くくねくねゆるき杣の道 (S 60/5)
*縫いつなぐ端布の嵩や春炬燵(S 60/6)
*木の芽風別れ去る子の金巻毛
*白樺の立ち尽くしたる睦月空
*すじ雲や黄沙の原に落ちゆく日 (S 60/7)
*独りの餉目刺し焙りて気ままなる
*雷鳴と蝉雨意を共有す
*青ぶどう炎暑の影を唐草に (S 60/10)