ふと見つけた母の俳句手帳から⑥

*黄落の小楢にひそと森の雨
*形見なる緞通の触しなやかに
*山茶花の散りし日向の墓地閑か (S 63/2)
*短日の編針の玉踊りつぐ
*暁の裸木に浮く月の舟
*触り居や暖炉の木椅子きしむとき (S 63/3)
*初明かり松嶺に乗る月の舟
*干支石けん初陽の窓の影鮮(あら)た
*乾盃のグラスひびけり寒三か月 (S63/4)
*おきざりのお手玉のごと落椿
*春暁の空ひらけゆくワイン色 (S63/5)
*春浅しかすれ鋭き祐三展(日動画廊)
*染卵星と十字と祈る手と (S63/6)
*玉葱の青芽くるりと竜の底
*友逝きし日もかくありし菜種梅雨
*束ねたるリラを献花の葬儀ミサ (S63/7)
*水影のむらさき深し花菖蒲
*銀祝の神父の大き手聖五月
*紫畑目く北京大路の桐並木 (S63/8)