~追憶:父の足音~

年末になると
正月一日に旅立った
父を思い出す

父の棺が
置かれていた仏間の
隣の部屋で寝ていたわたしは

真夜中に
衣擦れの音と足音を聞いた
そして ベッドが揺れた

窓の外には
黒白の幔幕が張られ
風の強い晩だった

風の所為かと思った

ふと目覚めたわたしは
棺のそばに戻った
父が呼んでいたのだ

わたしは二階に寝ていた
姉を起こし 二人で
父の思い出話をした

嬉しい話になる度に
父の腕時計が 
「チチっ、チチっ」と鳴った

姉とわたしは
そうして寝ずの番をした
それこそは「お通夜」だった

木枯らしの吹く
この季節
なぜか好きなのは
父のせいかもしれない。。。
(2025年12月17日宵)